小林慎宣さんたちが活動する嘉久志地域コミュニティ交流センター内に用意してある防災バッグの品々
小林慎宣さんたちが活動する嘉久志地域コミュニティ交流センター内に用意してある防災バッグの品々
嘉久志まちづくり推進協議会環境防災部部長の小林慎宣さん
嘉久志まちづくり推進協議会環境防災部部長の小林慎宣さん
小林慎宣さんたちが活動する嘉久志地域コミュニティ交流センター内に用意してある防災バッグの品々
嘉久志まちづくり推進協議会環境防災部部長の小林慎宣さん

 観測史上2番目に早く始まった山陰の梅雨は、7月に入ると梅雨前線の停滞に伴う集中豪雨が起きやすくなる。2018年、20年の豪雨も、多くの人の記憶に生々しく残る。消防OBとしての知識や経験を生かし、江津市の嘉久志まちづくり推進協議会で環境防災部部長を務める小林慎宣さんにすぐに取り組める水害対策を聞いた。   (坂上晴香) 人は災害をどうしてもひとごとと捉えがちだ。小林さんは防災対策を考える上で、まずは意識的に「自分の身に災害が起きたら」を想像することだという。地域の防災訓練やイベントに参加し、避難所への経路を歩いたり、防災グッズに触れたりすることも防災を身近に感じる一歩になるという。

 具体的なポイントを紹介する。

 【日頃の備え】

 ハザードマップで自分の住む地域に起こりうる災害を知り、家族で避難場所を確認する。家族が離れている時の連絡方法も話しておくといい。

 備蓄品も日頃から気を付けたい。食料の賞味期限、ラジオや懐中電灯の電池などを点検。特に水は必需品で、多めに準備する。万一の際に持ち出す品は1階玄関先に置く。必要な品をコンパクトにまとめた市販のリュック型防災セットもお勧めだ。

 被害を少しでも減らすため、道路沿いの側溝や雨水ますの掃除は怠りなく行う。詰まると道路冠水や住宅浸水の原因になるからだ。大雨が降りそうなときは自宅の屋外を整理。ベランダの洗濯ざおや小物は屋内に取り込み、古い雨戸は補強。ガラス窓は飛散防止フィルムを貼り、破損に備える。

 【災害発生時】

 危険な場所に近づかない。河川の様子を見に行くのは絶対に控える。地下室は浸水すると停電やエレベーターの停止、流れ込む水の圧力でドアが開かなくなるので早めに避難する。

 発生時に手に入る情報は貴重で、ときに生死を分ける。テレビやラジオ、ネットのほか、防災無線や緊急速報メール、市町村や消防からの避難の呼び掛けなど、地域発の情報で危険を察知したい。

    ×  ×

 人間は非常事態にあっても「自分に危険が降りかかるわけがない」と思い込む「正常性バイアス」が働くといわれる。「また大雨か」と危険な状態に慣れてしまうことが一番危険だ。小林さんは「人に頼らず自分の身は自分で守るという気持ちを忘れずに」と呼び掛けている。小林慎宣さん