第六章 来去来(四十二)

 師匠は暗(あん)澹(たん)たる面持ちで息を吐く。

「もしや、師匠も交(こう)誼(ぎ)がおありだしたんか」

 寅蔵は声を低めて訊いた。

「いや、直(じ...