1993年に日本で初めて「法隆寺地域の仏教建造物」と「姫路城」が、世界文化遺産に登録されてから昨年で30年。日本国内の世界文化遺産は20件となった。松江市は松江城を含む姫路城、犬山城、彦根城、松本城の国宝5城の天守を「近世城郭の天守群」として世界文化遺産登録を目指しておりこのほど、松江市内で世界遺産講演会を開いた。石見銀山遺跡(大田市)をはじめ、多くの世界文化遺産登録に貢献した西村幸夫さん(國學院大學観光まちづくり学部長)による講演要旨を紹介する。


 世界文化遺産の出発点は武力紛争時の文化財保護を目的とする1907年と54年のハーグ条約にあります。ロシアによる軍事侵攻で建物被害を受けているウクライナ南部の「オデーサの歴史地区」が2023年1月に世界遺産と同時に危機遺産にも登録されました。戦争による破壊の脅威から文化遺産を守る考えは今も継承されています。

 1960年には...