第六章 来去来(五十)

 寅蔵は歩きながら嘆息する。口の両端も下がり、曲がる。

 市中で大(おお)筒(づつ)引き回して、屋敷に火ぃ放ったんやろ。風で延焼することなんぞ雀の子で...