ー島根県内の企業の経営状況をどうみていますか。

日本銀行は国内景気の基調判断を持ち直しているとしていて、電子機器のメーカーなど一部業界は好調ですが、県内の情勢は新型コロナウイルス禍前の水準には届かず、やや停滞してるように認識しています。

人材不足が顕著になり、各企業が賃上げの必要性を認識していますが、人件費の原資をどのように確保するかが課題となっています。

ー 賃上げに必要な条件とは。

デジタルトランスフォーメーション(DX)などによる業務効率化に加え、商品や技術料の値上げが受け入れられる環境づくりが大切でしょう。

サプライチェーン(供給網)の価格転嫁が末端まで行き渡るような好循環が実現されるように、われわれも国などに働きかけていきます。

 

ー 各種の支援策も行っています。

賃上げや働き方改革に関するセミナーをはじめ、ソフトやハード整備に対して一定の補助をする支援メニューを島根県などと連携して用意しています。

社会保険労務士や弁護士ら専門的に相談できる体制もとっています。

ー トラック運転手の残業規制適用で物流の停滞が懸念される「2024年問題」の影響も4月以降、顕在化しそうです。

運送業については労働実態に合わせた処遇改善、荷主や一般の利用者は運賃の値上げや多少の不便を受け入れることが求められるでしょう。

賃金を上げるか、サービスレベルを下げるか。

制度化された以上、使用者と受け入れ側が契約や働き方を再チェックしていくほかに方法はないと考えます。

 

ー 地域経済の中長期的な維持、発展に向けては何が大切でしょうか。

若者やUターン者が地元でいきいきと働ける受け皿づくりが必要だと考えています。

経験や能力を踏まえた採用枠や活躍の場づくり、意欲と成果に見合った対価を出す賃金体系も職場の活性化には欠かせません。

このような環境づくりを、私たちもしっかりサポートしたいと思います。

大きな夢を持って山陰という地域でチャレンジしたいという人材を求めています。

山陰地方は「田舎だ」「人口減少社会だ」と言われます。だからこそ、新しい発想で型にはまらない取り組みができる人を必要としています。

山陰が抱える課題は今後、日本全体に広がります。そんな課題の解決に挑戦したい人を待っています。

久保田一朗=松江市出身、72歳。2015年から現職。

14歳半になる中型犬のコーギーを飼っています。長い距離の散歩ができなくなった老犬を連れて、妻と旅行に出かけています。

県内でもペット同伴で宿泊できる施設が増えていて、2人と1匹で楽しんでいます。

(一社)島根県経営者協会HP