多くの若者が希望を胸に新生活を始める4月を迎えた。松江北高校から現役で東大文科1類に合格した福山陸さん(18)もその一人。「官僚になりたい」の目標を描き、東大合格を周囲に宣言して効率的で地道な努力を重ねた。意識の持ち方や勉強法とは…。福山流メソッドを紹介する。
福山さんは松江市立津田小学校、島根大付属義務教育学校を卒業し、松江北高校に進学した。東大に心が向かったのは高校1年の6月、塾の全国模試で東大A判定が出たのがきっかけだった。

塾講師との面談を経て東大を目標に据えた。当初は漠然とした第一希望だったが、実際に東大に足を運び調べると2年の頃、本気で行きたくなった。世界史を学んでいるうちに、国家運営に興味を持ち、3年になって官僚を意識した。
「やみくもではなく、冷静に今、自分に何ができるか考えてほしい」。学習塾「大塾」(松江市学園2丁目)であった特別講座で、後輩に受験勉強のポイントや心構えを伝えた。以下に取材内容も踏まえて紹介する。
■なりたい自分に近づくためには何が
大学受験は全国との戦いとなる。地方は都会に比べて▽難関大向けの塾や予備校の数が少ない▽ライバルや憧れとなる先輩が少ない▽学習の進度が遅いーなどの差がある。
そのハンディを克服し、志望校に合格し、なりたい自分に近づくためには何が必要か。「有言実行」「朝勉即塾」「逆算思考」の三つが大事だ。

(1)<有言実行>
友人やクラスメート全員に「自分は東大に行く」と伝えた。意識や行動が自然と変わっただけでなく、自らの目標を伝えることで、友人の目標も共有でき、モチベーションが高まった。恥ずかしがることはない。志望校を隠すのはもったいない。
また、自分の今の立場を逐次、周囲に伝えた。どんな勉強をしているか、今の課題は何か…。言語化すると頭がクリアになり、課題を完遂できる割合が高まった。
もともとおしゃべりが好きで、英語スピーチコンテストや課題研究発表、大学入学共通テストの過去問についてのグループ討論などを通じて言語化を強く意識してきた自負がある。蓄えた「読む」「書く」「伝える」の技法は、原則、記述問題しかない東大の2次試験で大いに役立った。