妙義寺桜谷五輪塔に通じ、完成した階段通路(中央奥)=益田市七尾町
妙義寺桜谷五輪塔に通じ、完成した階段通路(中央奥)=益田市七尾町

 中世に益田を治めた領主・益田氏第19代当主藤兼(1529~96年)の墓とされる市指定文化財・妙義寺桜谷五輪塔(益田市七尾町)への階段通路が完成した。私有地を通る必要があったため、地元の地域自治組織・ますだ地域づくり協議会が多くの市民や歴史愛好者に訪れてもらおうと取り組んだ。

 藤兼は対立していた戦国大名・毛利元就と和睦した際、豪華な料理で元就をもてなすとともに虎の皮などを贈り、日本海交易による経済力の一端を示した。

 七尾城の改修、城下の整備に努めた英主としても知られ、益田氏の菩提(ぼだい)寺、妙義寺に葬られたという。

 五輪塔は高さ約2・1メートル、幅約80センチの石塔で、県道から約200メートル入った七尾城跡南側の谷あいにある。ますだ地域づくり協議会が2023年度、民有地の東側を通る市道からの階段通路を計画。総事業費約150万円で市の補助金100万を活用。残りは地元の寄付金などで賄った。

 工事は1月末から2月初めにかけて実施し、山の斜面に約40段の階段を設け、手すりも設置した。

 11月には近くの七尾城跡を舞台に全国山城サミットが開催される。ゆかりの五輪塔には多くの歴史ファンが訪れると予想される。協議会の石田貢三副会長(69)=益田市幸町=は「通路の整備を機に、歴代のおやかたさま(益田氏当主)への関心が高まればうれしい」と話した。

(中山竜一)