疑似餌のエギを使った釣法で釣ったアオリイカ1杯の重さを競う「第12回エギングフェスタ」(かめや釣具出雲店、山陰中央新報社共同企画)が5月19日に島根半島を舞台に開かれる。島根県は大型が狙える好ポイントが多く、毎春、県内外の「エギンガー」でにぎわう。大会を前に、出雲市出身のプロアングラー、上畠克久氏(CRONO所属)に釣果を伸ばすためのこつやエギングの魅力、島根半島の特徴などについて聞いた。
「手軽なタックルで、思い付いたときにすぐできる。食べてもおいしい」
エギングの魅力を語るのは、釣り具メーカーCRONO(クロノ)所属のプロ、上畠克久さん(47)=出雲市在住=だ。山陰でまだエギを使った釣法が流行していなかった20年以上前からアオリイカを狙い、数々の大物を仕留めてきた。4月中旬となり間もなく開幕を迎える中、豊富な知識と磨いてきた技を生かし、今シーズンも釣りを全力で楽しむ。

小学生の頃から釣り好きで、最初は近くの川でフナ釣りを始めた。海釣りに興味を持つようになった小学5、6年生の時には、自宅のある出雲市渡橋町から自転車で1時間以上かけて大社築港(出雲市大社町杵築北)へ向かい、浮き釣りでヘダイやクロアイ、チヌを釣った。地元の大人に教えてもらい、魅力にどっぷりはまった。
エギングとの出合いは20歳の頃だった。当時は生き餌でなければイカは釣れないと思っていたが、釣り仲間に「エギでイカが釣れるらしいぞ」と聞き、漁師がイカ漁で使う木製で4号程度の大きさのエギを買って大社築港で投げた。
エギングは周りで誰もやっていなかったが、9フィートのシーバスロッドに、3~4号のナイロンラインというタックルだったにもかかわらず、いきなり複数杯が釣れた。秋シーズンで食欲旺盛な新子のアオリイカが多い時期だったのもあるだろうが、美味で数が釣れることから仕事終わりでも毎日海へ通った。
22歳の頃に、おか釣りで使用する専用のエギや飛距離と感度に優れたPEラインが発売され、エギングが徐々にブームになった。大会が各地で開かれるようになり、何度も入賞して自身の知名度を高めたほか、後の師匠となる男性との出会いをきっかけに、27歳でプロ契約を結んだ。現在はエギングの楽しさなどをイベントで発信しながらメインフィールドの島根半島で活動を続ける。
近年は釣り人の増加や地球温暖化による海の環境変化などが原因で釣れるイカの数が減少傾向にある。そもそも春は秋に比べてイカの警戒心が強く、釣るのが難しい時期というが「貴重な一杯を楽しみながら釣ろう」とシーズンインを心待ちにする。
(藤原康平)
=毎週木曜配信=
<エギングとは>

もともと漁師がイカ漁で使用していた疑似餌が進化し、現在の主に陸からアオリイカを狙うルアー釣りになった。エギはエビや小魚を模して木やプラスチックを成形し、色や模様の入った布地で包み、掛けバリを装着している。
さおの長さは8フィート前後が主流で、リールは2500~3000番クラスを使うのが一般的。ラインは0・6~0・8号のPEラインを、リーダーはフロロカーボンの2・0~2・5号を使用する人が多い。
釣り方はエギを海にキャスト後、まずは着底させるのが大事。さおを大きくあおってエギを水中で高くはね上げたり自然沈下させたりしながら、藻場に潜むイカを誘う。さお先やエギの動きに神経をとがらせ、何か違和感があったらフッキングして釣り上げる。
[次の記事]
・アオリイカの釣果 超人気!島根半島・西側の特徴とは <エギングの極意(2)>
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<プロフィル>
うえはた・かつひさ 出雲市生まれ。釣り具メーカーCRONO(クロノ)のプロスタッフやUNITIKA(ユニチカ)のフィールドテスターなどを務める。アオリイカの自己ベスト(重量)は船釣りで4・2キロ、おか釣りで3・6キロ。47歳。