弥生時代に大規模集落があったとされる青谷上寺地遺跡(鳥取市青谷町青谷)から出土した人骨を基に、鳥取県が顔を復元した「復顔像」が3月にお披露目された。2021年秋の弥生人の男性に続く第2弾。頭蓋骨の特徴から女性とにらみ復元を始めたところ、実は10代前半の若い男性と判明し話題になった。現代人に似た顔立ちで弥生時代が身近に感じられそうだ。

■DNAを分析で特徴判明
若い男性のDNAを分析した結果、髪は太い▽肌はやや濃い▽まぶたは二重▽眉毛は濃い▽虹彩の色は暗色系▽耳あかは乾燥タイプ▽歯は大きめ▽アルコール耐性は高いーなどの特徴が判明した。
151~175年ごろに暮らしていたとみられ、両親からの遺伝で渡来系の身体的特徴がある。渡来系は、面長で彫りが浅いのっぺりとした顔立ちとなる傾向。現代人と同じ系統に属しており、弥生時代後期ごろには現代と近い顔つきの人たちが暮らしていた。

■もともとは女性を復元したかった
県はもともと、女性を復元したかった。同遺跡から出土した人骨は約5300点。個体判別できるのは少なくとも109体と推測されており、このうち約30体の頭蓋骨の中から、骨の形状で女性と判定していた個体を選んだ。2022年度から精密な分析と並行して復顔を進めていた。
頭骨は男性的な特徴がなく、女性とみられていた。ところが、DNA分析中に男性を示すY染色体が発見され、23年12月に男性と判定。思わぬ計画変更となった。復元事業に当初から携わる県立青谷かみじち史跡公園の浜田竜彦課長補佐は、分析を担った国立科学博物館からメールで速報結果を知らされ「びっくりした。女の子だと思っていた」と戸惑ったという。

■21年10年にも複顔像公開
県は21年10年にも弥生人の複顔像を公開。中年の男性で髪が太い特徴があることが分かった。父から受け継ぐDNAは日本列島在来の「縄文系」であり、顔の凹凸がはっきりしている濃い顔立ちだ。公募の結果「青谷上寺朗(あおやかみじろう)」と命名し、そっくりさんを選ぶイベントを実施し話題を呼んだ。
女性の顔が見たいという要望も多く、県は24年度、”今度こそ”女性の復顔像の制作に取りかかる。DNA分析で女性だと判定している個体で、頭蓋骨の欠損部分が見つかり、復元の対象となった。実現すれば大人の男女と子どもの復顔像がそろい、弥生時代の人々の暮らしがイメージしやすくなりそうだ。

復顔像は3月にオープンした県立青谷かみじち史跡公園(鳥取市青谷町吉川)のガイダンス棟で見ることができる。2体は並べて展示されており、比べて見ても面白い。浜田課長補佐は「10代男性にも名前を付けたい」と話した。
(鳥取総局報道部・岸本久瑠人)
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青谷かみじち史跡公園の開館時間は午前9時~午後5時。休園日は毎月第4月曜日と年末年始。ガイダンス棟と公園の利用は無料で、重要文化財棟は個人200円、団体150円、学生と高校生以下は無料。