白と黒で構成された水墨画や素描、版画、写真を紹介するコレクション展が、益田市有明町の島根県立石見美術館で開かれている。黒い壁に作品が掛けられ、来場者がカラフルな日常からかけ離れた白と黒の世界に浸っている。6月2日まで。
19~20世紀の作品26点を展示。日本画の巨匠・横山大観(1868~1958年)の水墨画「水温(ぬる)む」(1954年)は墨の濃淡で春がすみの空気感や雄大な山を描き、跳びはねる1匹の魚が春の訪れを表現している。
明治期に活躍した水彩画家・大下藤次郎(1870~1911年)が鉛筆で東京の風景を描いた素描や、20世紀前半に活躍したフランスの画家ラウル・デュフィ(1877~1953年)の木版画なども展示されている。
同館専門学芸員の左近充直美さん(52)は「私たちは日ごろさまざまな色に囲まれて暮らしている。白と黒の織りなすドラマチックな世界観や、ぼかし、かすれによる階調で色味を想像する楽しさを味わってほしい」と述べた。
午前9時半~午後6時(入場午後5時半まで)。毎週火曜休館。一般300円、大学生200円、高校生以下無料。
(中山竜一)