250年以上前から伝わる「もみ火神事」が20日、鳥取市賀露町北1丁目の賀露神社であった。地元の20歳前後の男性7人が両手のひらに挟んだウツギの枝を回してヒノキの板の穴にこすりつけ、火おこしに挑んだ。
参加して一人前の大人と認められる漁師町・賀露の通過儀礼の一環。かつては20歳だけで担ったが、若者が減った現在は年齢の幅を広げている。ふんどし姿の7人はおはらいを受け、近くの賀露港の海に飛び込んで身を清め、交代しながら火おこしに取り組んだ。なかなか発火せず2度中断して海で身を清め直した。開始から1時間ほどして火が付くと、歓声が上がった。
火は28、29両日に神社である春祭りの明かりや、お供えするもちの種火になる。7人は春祭りで麒麟(きりん)獅子舞を奉納し、見守る大人が「オセヨー(大人になったぞ)」と声をかける。参加した会社員・森本歩空(ほだか)さん(23)は「付いた時はとてもうれしかった。これで祭りに臨める」と喜んだ。
(桝井映志)