記録集の構成を話し合う田中豊館長(左)と青戸和雄会長=松江市島根町加賀、島根公民館
記録集の構成を話し合う田中豊館長(左)と青戸和雄会長=松江市島根町加賀、島根公民館

 松江市島根町加賀の漁業集落火災の経験を市や島根町全体で共有し、後世に伝えようと、加賀地区の住民が記録集の作成に乗り出した。火災発生から1日で丸3カ月たったが、被災者の生活再建は道半ば。一集落ではなく町全体の問題として寄り添い、支える機運にもつながればと願う。 (黒沢悠太)

 記録集作成のアイデアは6月上旬、市社会福祉協議会や加賀地区の自治会長らの被災地支援検討会議で上がった。加賀地区社協が事業主体となり、会議に出席した関係者が資料収集を進めている。

 地区社協の青戸和雄会長(71)は2005年の市町村合併後、旧町単位のまとまりが薄れてきたとの危機感がある。「同じ島根町内でも、そのうち忘れられてしまうかもしれない。せめて町民には忘れてほしくない」と思いを語る。

 過去にも何度か大規模火災に見舞われたことが、島根町史に記録されていたことも、背中を押した。

 記録誌は30ページ程度を想定。被災前の集落の全景や火災時の様子、ボランティア活動などの写真を載せる。発生、通報、消防隊到着など時系列に出来事をまとめ、寄せられた支援物資やボランティア活動に参加した団体、避難者数の推移などのデータも盛り込む。

 年内の完成を目指しており、島根町内19自治会や市内の公共施設に配る予定。

 島根公民館では今月末から被災者を招いたサロンを定期的に開く計画もある。

 田中豊館長(67)は「これから本格的な復興が始まる中、被災された方に寄り添っていく。記録集の制作もその方たちのことを思いながら、後世に伝えるための活動だ」と話す。

 島根町加賀の漁業集落火災は4月1日に発生。建物被害は民家や市所有の建物で全焼22棟、部分焼2棟、ぼや8棟、焼失面積計約2573平方メートルだった。火元や原因は不明のままで、松江署が捜査を続けている。