東京五輪の開幕まで3週間となった。全国の多くの自治体で、事前キャンプ地として各国の選手団を受け入れる準備が整い、実際に合宿が始まったところもある。大会参加選手は約1万1千人。間もなく入国ラッシュが始まる。

 このタイミングの中、大阪府泉佐野市で合宿するため来日したウガンダ選手団の2人が新型コロナウイルスの陽性者と確認された。事前には想定できなかった形での大会関係者の感染が、今後も起こりうることを示した事例だ。驚きを持って受け止めた自治体も多いだろう。

 選手団の入国直後の陽性判定と濃厚接触者の確認作業をどのように進めるかは、まさに大きな課題となった。それこそが感染防止体制の「穴」をふさぐ上で鍵を握ることが今回、鮮明になった。

 政府は従来のものよりきめ細かな指針を早急に発表し、事前キャンプ地の保健所は担当人員の規模を含め、より実効性の高い態勢を構築するために知恵を絞らなければならない。

 ウガンダ選手団9人の入国では、まず成田空港の検疫で1人の陽性者を確認し隔離措置を取った。検査で陰性だった残る8人が濃厚接触者であるかどうかの判定については、受け入れ先の自治体の保健所が行うとの決まりに従い、そのままバスで泉佐野市に向かった。

 入国から3日後に8人は濃厚接触者であると判定され、うち1人の陽性がその翌日に判明した。同じ便で長い飛行時間を共にしていながら、空港で直ちに濃厚接触者の判定対象とはならないシステムはどう考えても合理性を欠く。受け入れ先の保健所だけがそれを判定するとの現行ルールは改定されるべきだ。

 テニスの四大大会の一つ、全豪オープンではことし2月の大会前、チャーター便でメルボルン入りした選手と関係者に陽性者が出たため、同乗していた70人以上の選手全員に対し、当局が2週間の隔離措置を取った。錦織圭選手も長くホテルに缶詰めとなった。

 日本政府が自治体に提示した感染防止の手引は昨年11月に整えたものだ。全豪テニスの事例などを参考にして、改定の検討に乗り出す機会もあったのではないか。

 空港での検疫と、選手団を受け入れる自治体の保健所が水際対策で2重の関門を担う現行の枠組みは、有効な代替案が見いだせない中では維持するのが賢明だろう。それでも、それぞれの活動内容については、より現実に即した、もっと効果的な対応を模索すべきだ。

 選手や大会関係者を大きく頑丈なバブル(泡)の中に入れ、外部と遮断するというのが、多くの国際競技大会で実践され、東京五輪でも導入される感染防止の考え方だ。

 ウガンダの2人はワクチン接種済みなのに、インドで最初に確認された「デルタ株」で陽性になったとみられ、自国検査の陰性証明が必ずしも信頼できないと分かった。高い緊張感をもった対応が一層必要になった。

 バブル方式は、理論上は内部と外部の接触を防ぐ効果があるのは間違いない。だが、その実現には丁寧な作業を積み重ねなければならない。

 自治体による人手のかかる陽性判定作業の増加が予想されるなら、あらかじめ周辺の自治体に協力を仰ぐ場合があると伝えて、了解を得ておくことも大切だろう。