2000年の鳥取県西部地震を振り返る住田孝昭さん=鳥取県江府町佐川、住田組
2000年の鳥取県西部地震を振り返る住田孝昭さん=鳥取県江府町佐川、住田組
20年を超える調停委員の活動を振り返る三木厚子さん=松江市内
20年を超える調停委員の活動を振り返る三木厚子さん=松江市内
2000年の鳥取県西部地震を振り返る住田孝昭さん=鳥取県江府町佐川、住田組
20年を超える調停委員の活動を振り返る三木厚子さん=松江市内

 春の褒章受章者が28日付で発表され、山陰両県では島根県在住の8人(緑綬褒章1人、黄綬褒章2人、藍綬褒章5人)、鳥取県在住の3人(黄綬褒章2人、藍綬褒章1人)が受章した。発令は29日。受章者は次の皆さん。(敬称略)

 ▼島根
◇緑綬褒章
【社会奉仕活動功績】
松田照美(81)食生活改善推進員。隠岐の島町港町

◇黄綬褒章
【業務精励(土地家屋調査士業)】
木戸芳己(73)土地家屋調査士。安来市安来町

【業務精励(郵便集配業務)】
田頼勤(73)郵便集配受託者。安来市大塚町

◇藍綬褒章
【労災医員功績】
内尾祐司(62)島根労働局地方労災医員。出雲市塩冶町

【統計調査功績】
中谷乃里子(67)元小売物価統計調査員。松江市西川津町

【更生保護功績】
名越邦博(74)保護司。隠岐の島町西町
吉野光徳(78)保護司。松江市古志原6丁目

【調停委員功績】
三木厚子(73)元調停委員。松江市古志原6丁目

▼鳥取
◇黄綬褒章
【業務精励(建設業)】
住田孝昭(70)住田組代表取締役。江府町佐川

【業務精励(土地家屋調査士業)】
松本雅人(70)土地家屋調査士。境港市渡町

◇藍綬褒章
【更生保護功績】
生駒正美(74)保護司。倉吉市井手畑

▼信頼第一に調停委員22年

◇藍綬褒章 三木厚子さん(73)=松江市古志原6丁目

 

 

 離婚や遺産分割など、当事者の間に立って解決を後押しする調停委員を22年間務めた。調停に臨む当事者は緊張し、さまざまな思いや不安を抱えて裁判所を訪れる。「真摯(しんし)に耳を傾け、信頼関係を築くことを第一にやってきた」と語る。

 香川県坂出市出身。夫の転勤で訪れた松江が気に入り、定住を決めた。松江家裁の調停委員には2002年4月に就任。ゼロからのスタートで、法律知識や調停技術を学ぶため、裁判所や調停委員らが開く研修会に積極的に参加した。

 心に残る事案がある。離婚を巡る調停で、荒れる男性に「不平等だろう」など心ない言葉をぶつけられながら、粘り強く話を聞いた。男性は希望に沿わない結論だったにもかかわらず「人生の一つの区切りとしていい勉強をさせてもらった。これで再出発できる」と最後は感謝してくれた。携わった裁判官らの充実感漂う笑顔と、報われた思いは今も忘れられない。

 調停委員の仕事は、もめ事に直面した当事者の話を受け止め、気持ちの整理をつけてもらうことだと捉える。「前向きな再出発のお手伝いができたという実感が何よりうれしい」とほほ笑む。
(新藤正春)

▼数々の工事担い日常守る

◇黄綬褒章 住田孝昭さん(70)=鳥取県江府町佐川

 

 

 1981年に父親が経営する建設業の住田組に入社し、40年以上たった。「顧客満足と地域社会への貢献」を社の基本方針とし、住民の日常を守ってきた。手がけてきた数々の建設工事は優良工事として鳥取県から表彰を受ける。

 「機械化、自動化しても施工するのは人間。職人をもっと大切にしないとこの業界は成り立たなくなる」との思いから、人材育成に力を入れる。社員の技術力向上だけではなく、有給休暇を時間単位で取得できるようにするなど職場環境の改善にも努める。

 自宅近くを流れる美しい日野川とともに少年時代を過ごし、水に対する思いは人一倍強い。2012年、日野川の恩恵を受ける近隣の建設業者と会社を設立し、鉄炭団子を生かした湖沼などの浄化対策に取り組み、環境問題にも熱心だ。

 2000年の鳥取県西部地震では、国道181号の至る所で巨石が落下した。1メートル四方の土のう数千個を設置し、わずか5日後には日野郡内のほぼ全線を開通させた。全国的に地震が多発しており「危険な場所はまだまだある。信用を第一に住民の皆さまの安心安全を守っていきたい」と力を込める。
(藤本みのり)