短歌 安部歌子選

採血の次はレントゲン、心電図と手慣れた様子の母は得意気    出 雲 江角  謙

  【評】心配して母親に付き添ってきた作者の出番は無かったかもしれない。得意気な母親の姿を見守る作者の目は温かい。二、三、四句は字余りが続くが結句を七音に納め流れの良い一首になった。

駅前の小さき駄菓子屋店閉じて居残るポストに歌入れにゆく    出 雲 下〓(崎の大が立の下の横棒なし) 文枝

  【評】長年慣れ親しんだ駄菓子屋が店を閉じた。店先に残されたポストを「居残る」と擬人化したことで一首が膨...