毎年春になると、長いトレッキングに出かけたくてうずうずする。今年は、京都府の京丹後から鳥取県の岩美まで、山陰海岸国立公園を約1週間かけて歩くことにした。不思議な地形に感動し、岩の入り江に隠れた小さな漁村を訪れ、おいしいカニを食べ、道中たくさんの地元の人たちと出会うことができた。今回は、たくさんの見どころにあふれた旅の中でとりわけ印象に残った、岩美の田後漁港と網代漁港を結ぶ約2.7キロの道のりを紹介しようと思う。息をのむような海の景色が楽しめ、魅力的な浜辺がいくつもあるこのコースは、私がこれまで日本で訪れた中で最も素晴らしい景観の一つだと言っても過言ではない。
私はハイキングコースの東の端から歩き始め、城原海岸へと下っていった。このビーチは砂利浜で、巨大な岩が点在している。巨石に囲まれた通路を歩いていると、私は日本の古い城の砦(とりで)を進んでいるような気分になった。浜辺を覆う波に削られた小石が、一歩進むたびに私の足元で音を立てた。どうやらこれらの丸っこい石のほとんどは花こう岩で...