雲南市三刀屋町給下の峯寺に伝わる民話を題材に、同市在住の郷土史家ほりえともこさん(45)が児童書「ぼたもちを運んだ天狗(てんぐ)どん」を制作した。寺の裏山にすむ天狗の優しさを描いた心温まる物語で、地元の三刀屋高校の生徒も制作に協力した。「ふるさとに関心を持つきっかけになればうれしい」と話す。
「忠僕の陰膳」という民話を題材にした。修行の旅に出た住職の無事を祈り、奉公人(忠僕)が陰膳にぼた餅を供えたところ、わんごとなくなり、困っていたところに、住職がなぜかわんを持って帰ってきた。住職は修行中にぼた餅が届いたと言い、奉公人の真心をくんだ天狗が持ってきてくれたのだろうと語る。
児童書は天狗を主人公にし、なぜ住職にぼた餅を届けたのか、想像を膨らませて書き上げた。色鉛筆で手塗りした登場人物のかわいらしいイラストも添えた。
制作は、三刀屋高校JRC部の生徒たちが峯寺の魅力を発信するプロジェクトに取り組んでいるのを知って思い立った。峯寺が老朽化した建物の修繕費を募っており、役立ちたい思いもあった。挿絵の一部は生徒たちに描いてもらった。
B5判27ページで税込み千円。250部を発行した。市内のチェリヴァホールなどで購入できるほか、図書館でも読める。収益は峯寺の修繕費に充ててもらう。ほりえさんは「昔から大事にされているお寺があることを多くの人に知ってもらいたい。児童書でふるさとの魅力を知ってもらえればいい」と話す。(福間崇広)