自治体をPRする「観光大使」の採用を巡り、関係者が苦慮している。時代の変化に合わせて名前や募集要項を変更するが、女性が就くとのイメージを払拭(ふっしょく)できずにいるという。背景を探った。(西部本社報道部・中村成美)
桃色のジャケットに黒のワンピース姿で、島根県産品をPRする女性。県観光連盟が一般の応募者から選び、2年間の任期で採用する「しまね観光大使」だ。

歴史は1986年にさかのぼる。当時の呼び名は「ミス山陰」。地域活性化を目的としたご当地ミスコンが全国ではやっていたためだ。92年に「観光島根キャンペーンレディ」に改称。2000年に現在の名称となり、男性にも門戸を開いた。変更理由は定かではないが、1999年の男女共同参画社会基本法の施行が影響しているという。
仕事はイベントの司会や物産展での県産品のPR、メディア出演と幅広く、県外出張もある。一般の県民が県の顔役になれる機会だが、これまで就任した69人のうち男性はわずか1人。そもそも男性の応募は1割ほどといい、担当者は「公平に選考するが、男性の母数が少ない」と明かす。
コロナ禍契機に廃止も
山陰両県の観光大使を調べると、一般の人を募るのは島根県では、...