稲刈りをする亀田製菓の新入社員ら=9月、新潟県阿賀野市
稲刈りをする亀田製菓の新入社員ら=9月、新潟県阿賀野市

 先日、農園で草刈りをした。1時間ほどだったが汗がしたたり落ち、腰が痛い。翌日、筋肉痛になった。農業に従事することの過酷さとともに、迷走する農政が頭に浮かんだ。

 石破政権が高騰する米価を下げるため打ち出した備蓄米の放出と増産を、高市政権は3カ月足らずで転換。鈴木憲和農相は従来通り「需要に応じた生産」を掲げ、米価高騰対策として「おこめ券」の配布検討を表明したのに対し、石破茂前首相は不快感を示した。

 いろいろな意見があるだろうが、増産は課題が多いと感じていた。山陰両県は条件不利地の中山間地域の面積が9割以上を占める。大規模化を進めるための農地集約は限界がある。そもそも農家の高齢化が進み、担い手不足は深刻だ。広がり続ける耕作放棄地を水田に戻すのは容易ではない。

 政権、大臣が代わったとはいえ、同じ自民党。生命、国の根幹に関わる農政が一貫性を欠き、ころころと変わる「猫の目農政」では若者らに就農を呼びかけても響かない。1次産業の在り方は人口減少が続く地方の地域維持に関わる。食料需給の観点だけではなく、地方、そして国土を守るという視点が必要だ。

 農園で草刈りを終え、サツマイモを掘った。洗っても手には土の匂いが残った。消費者目線の政策は大事だが、現場の実情に合い、血が通った揺るぎのない長期政策が必要だ。土の匂いは「霞が関」にいても分からない。(添)