消費者庁は28日、中国電力(広島市)に対し、家庭用電気料金メニューが規制料金より実際は割高の場合があるのに、安くなるかのように表示したのは景品表示法違反(有利誤認表示)に当たるとして、16億5594万円の課徴金納付命令を出した。同庁によると2016年の制度開始以来、同法に基づく課徴金としては最高額という。
中電と消費者庁によると、2種類の自由料金メニューで22年4月1日~23年1月12日、国の認可を受けた規制料金「従量電灯A」より、「年間で約1200円おトクに!」などとサイトやパンフレットに表示した。しかし、燃料費の変動を反映させる「燃料費調整額」を加えると、価格が逆転するケースがあった。
同庁は23年8月に「不当表示」と判断し、再発防止などを求める措置命令を出していた。
景品表示法は対象サービスの売り上げの3%を納付するよう定めている。消費者庁は同法に基づき、不当表示の対象行為の終了時点に約6カ月を加算した22年4月1日~23年6月27日を課徴金対象期間と設定。この期間に価格が規制料金より逆転していた自由料金メニューの売上額は551億9839万円だった。
中電本社で会見した高見和徳総務部長は「お客さまにご迷惑をおかけし、深くおわび申し上げるとともに再発防止に努める」と陳謝。取り消し訴訟などには否定的な考えを示した。
中電は、不当表示期間の新規加入者に対し、今月から規制料金との差額分の返金手続きを進めている。対象となる契約は約26万件で、返金総額は最大約10億円と見込んでいる。
これまでの課徴金最高額は、今年3月にメルセデス・ベンツ日本(千葉市)に出した12億3097万円だった。 (錦織拓郎)