集団下校する児童=13日午後、松江市宍道町宍道、宍道小学校前
集団下校する児童=13日午後、松江市宍道町宍道、宍道小学校前

 松江市宍道町の住宅地に近い場所で、13日未明から明け方にかけてツキノワグマの目撃情報が相次いだ。いずれもけが人はいなかった。町内では5日も国道54号を横断するクマと車がぶつかったとの通報があり、住民が警戒を強めている。

 松江市農林基盤整備課によると13日午前0時20分ごろ、同町佐々布の荻田団地南側の県道上に子グマ2頭がいるのを車で通りかかった男性が発見した。体長50~80センチほどという。

 

 続いて午前4時ごろ、2キロほど離れた同町宍道の宍道蒐古館付近で、地元住民の男性が、体長1メートルほどのクマが水田にいるのを見つけた。

 市は、外出時にクマよけの鈴などを身に着けるよう呼びかけている。(松本ひろ)

 

 学校や保護者 広がる不安

 

 相次ぐ目撃情報を受け、近くの宍道小学校は集団下校の措置を取り、保護者に車での送迎を求めた。5日にも学校近くの国道に現れ、警戒態勢を解いたばかり。保護者からは「子どもが外で一人きりにならないようにしないといけない」との言葉が聞かれた。

 13日未明に目撃された場所から数十メートル北の団地には児童約20人が住んでおり、明け方の目撃場所から北東250メートルにJR宍道駅がある。

 小学校は集団下校を決定し、保護者に対し、可能であれば車で迎えに来るようメールで連絡した。児童を迎えに来た複数の保護者は「いつどこで遭遇するか分からずとても怖い」「外で一人きりにならないよう子どもに言い聞かせる」と不安げに話した。

 同校は14日も車での送迎を保護者に求め、徒歩で登校する児童は孤立しないよう要請した。安達利幸校長は「保護者からは『わが子が被害に遭うのでは』と心配する声が多い。手をこまねいているわけにはいかない」とPTAの承諾を得て、PTA会費で全校児童286人にクマよけの鈴の購入を決めた。届き次第、配布する。

 地域住民でつくる青パト隊は連絡を受け、自主的に見守り活動を行った。宍道公民館の佐藤和彦館長(63)は「1頭が動き回っているのかと思っていたが、市の発表を聞くと複数いるようだ。こんな事態は初めてだ」と見守りを続ける考えを示した。(新藤正春)