津和野高校(島根県津和野町後田)の合唱部が、町内のホテルで定期公演をしている。部員は6人と小規模ながら、フットワークの軽さを生かして発表の場を広げる。宿泊客にとっても旅の良い思い出となり、新たな「名物」として定着を目指す。(藤本ちあき)
同校の合唱部は「地域に歌声を届ける」との目標を掲げており、日原天文台や公民館、町内でのイベントでの披露をメインとしている。
昨年、町内でのクリスマスコンサートの様子をSNSで発信したところ、ホテル「ゆとりろ津和野」を運営しているリロバケーションズ(東京都)の企画部門担当者の目にとまり、ミニコンサートを打診したという。3月に実現し、宿泊客から好評だったため、5月から定期公演となった。
5月中旬にあった公演では、男声3部合唱で、町出身の画家・安野光雅氏が作詞した曲集「津和野」から選曲した曲や、ピアノのソロ演奏も含め計13曲を披露した。ホテルのロビーにハーモニーを響かせ、宿泊客や地域住民らが目を閉じたり体を揺らしたりして聴き入った。
広島県廿日市市から訪れていた宿泊客の井上典子さん(75)と山田恭子さん(75)は「すてきな歌声で、うれしいプレゼントをもらった。良い旅になった」と絶賛した。
中島颯汰部長(17)=3年=は「聴いてくれる人も増え、自分たちの成長にもつながる」と話す。6月中には3年生が引退するため、2年生と1年生の混声合唱になるが、地元住民と歌って交流する「ふれあい歌声喫茶」も始め、地域に根ざした活動を極めていくつもりだ。