アルバム「アップフロント」
アルバム「アップフロント」
アルバム「ハイダウェイ」
アルバム「ハイダウェイ」
アルバム「アップフロント」
アルバム「ハイダウェイ」

 5月に亡くなったジャズ・フュージョンのサックス奏者デビッド・サンボーンは、「泣きのサンボーン」と言われる情感たっぷりの演奏で人気を集めた。個人的にはファンク色の強い軽快な作品が好きで1992年のアルバム「アップフロント」が最高傑作だと思う。サンボーンを聴き始めた大学時代に発売され、収録曲「スネイクス」は今もよく聴くお気に入りだ。

 この曲はイントロのベースがわくわく感をそそり、オルガンがファンク感を高める。テーマのメロディーを繰り返した後のソロでサックスが熱く歌う。むせび泣くような音色がいい。収録曲「ランブリン」は、ジャズサックス奏者オーネット・コールマンのもっさりした原曲を軽快にアレンジしており、かっこいい。

 しみじみ系の曲はあまり聴かないが、好演はある。例えばジャズ編曲者ギル・エバンスの74年のアルバム「プレイズ・ジミ・ヘンドリックス」の収録曲「エンジェル」。ロックギター奏者ジミ・ヘンドリックスの名作のカバーで、サンボーンが参加していて歌の部分を奏でる。緩急が巧みで、しゃくり上げるような吹き方も面白い。

 もともとソウル歌手レイ・チャールズに憧れ「サックスでレイのように歌いたい」と考えていたらしい。その歌心が魅力なのだ。(志)