県道の崩落現場。下部に二つの石積み擁壁が確認できる。県道の右側がブロック擁壁=11日午後、出雲市大社町日御碕
県道の崩落現場。下部に二つの石積み擁壁が確認できる。県道の右側がブロック擁壁=11日午後、出雲市大社町日御碕

 大雨の影響で崩落した県道大社日御碕線の現場を10日に視察した松江工業高等専門学校(松江市西生馬町)の河原荘一郎名誉教授(地盤工学)は、山側のブロック擁壁が沈んでおり、さらなる崩壊の危険性があると強調した。仮道を設置する場合、崩落現場をなるべく大きく迂回(うかい)するルートを設定する必要があると指摘した。

 崩れていない山側のブロック擁壁が沈んでおり、内部の土砂が流出している可能性があると説明する。さらに、「あれだけの土砂が流れたため、今残っている県道の下が空洞になっているかもしれない」として、ブロック擁壁や県道でさらなる崩壊が起きる危険があると分析した。

 このため、仮復旧のルートはさらなる崩壊リスクがある県道やブロック擁壁の上部は使わないようにすべきだと提案。日本海に至るまで崩落した海側の盛り土が実施されるまで、所有者と交渉して北側の私有地のできるだけ山側を通るルートで車が通行できる方策を練るべきだとした。

 また、崩壊で表れた県道下に二つの石積み擁壁が並んでいるのを確認した。石積み擁壁を施し、道路整備した後、海側に追加で土を盛り、道路を拡幅した形跡があるという。

 拡幅部の境目に沿うように、県道に亀裂が入っている。水が流れてきやすい地形ではないとみるが、記録的な大雨によって水が地中に浸透し、追加で盛り土した部分の土砂崩れが、崩落につながった可能性が高いと分析する。

 県はこの県道について、週2回パトロールを実施していた。県道の盛り土を実施した時期は現状不明としている。

 河原名誉教授は、災害現場などに足を運び技術的指導や助言をする国土交通省中国地方整備局の「道路防災ドクター」として現地を視察した。

(高見維吹)