アルバム「フィール・ソー・グッド」
アルバム「フィール・ソー・グッド」
アルバム「サンチェスの子供たち」
アルバム「サンチェスの子供たち」
アルバム「フィール・ソー・グッド」
アルバム「サンチェスの子供たち」

 トランペットに似た楽器フリューゲルホルンの奏者といえば、チャック・マンジョーネ。ジャズからフュージョンに転向して1970年代後半に「フィール・ソー・グッド」「サンチェスの子供たち」といった親しみやすいヒット曲を連発し、時代の寵児(ちょうじ)となった。

 「フィール・ソー・グッド」(同名の1977年のアルバムに収録)は哀愁漂うソロで始まり、軽快なリズムに変化し、明るく爽やかな音色を響かせる。個人的には「チェイス・ザ・クラウズ・アウェイ」(同名の75年のアルバムに収録)が一番好き。しみじみ系の曲で、フルートも絡んで情感たっぷりだ。

 その後、低迷して影が薄くなり「一発屋」とも言われるが、才能豊かな音楽家だったのは間違いない。

 もともとジャズトランペット奏者で、ドラムの御大アート・ブレイキーのバンドに参加した。「マイ・ロマンス」(ブレイキーの66年のアルバム「バターコーン・レディ」に収録)では、ミュート付きトランペットでマイルス・デイビスみたいな渋い音を奏でる。ブレイキーは控えめにリズムを刻み、引き立てる。

 若手を育てようというブレイキーの心意気を感じるだけに、ジャズの世界にとどまっていたら、どうなっただろうと想像が膨らむ。

 (志)