緻密な文様が浮かぶ出雲織を鑑賞する来館者ら=松江市袖師町、島根県立美術館
緻密な文様が浮かぶ出雲織を鑑賞する来館者ら=松江市袖師町、島根県立美術館

 緻密に織り込まれた糸が独特の風合いや柄を生み出す「出雲織」の作品展が、松江市袖師町の島根県立美術館ギャラリーで開かれ、着物や帯など30点が来館者の関心を集めている。入場無料。29日まで。

 安来市黒井田町の出雲織作家・青戸柚美江さん(97)や息子の秀則さん(故人)らの下で学んだ門下生が企画。島根、鳥取両県に加え関東や関西、九州から20~80代の23人が出品した。

 出雲織は制作前に入念に設計図を描き、完成までに1~3カ月かかる。着物の素材となる反物(長さ約13メートル)は縦糸と横糸を計算して織り込み、十字や水紋などの美しい柄を描いた。

 柚美江さんの木綿絵羽「松」は、濃淡のある藍色の生地の上に緻密な松の木が浮かび上がる。

 企画した戸谷昌代さん(52)=安来市広瀬町=は「出品者の中には現在、創作活動から離れている人もいる。普段は見られない作品も多くある」と来場を呼びかけた。(白築昂)