安来市の工芸にスポットを当てた企画展「こうげいやすぎ」が加納美術館(安来市広瀬町布部)で開かれている。第1弾の今回は安来織(おり)など布製品と木工芸など木製品、資料の計約80点で、昭和期の作家から現役作家まで13人の手仕事を紹介する。地元出身の陶芸家・河井寛次郎らの民芸運動の影響を受けた品もあり、来館者が見入っている。5月19日まで。
木工芸の野白(のしろ)國雄(くにお)さん(故人)の「姿見」は安来織の遠藤小間野(こまの)さん(故人)とのコラボ作品。安来織の鏡カバーには版画家・棟方志功が描いた「織姫」を絵がすりであしらってある。野白さん、遠藤さんは寛次郎と親交があり、寛次郎を慕う棟方志功が安来を訪れていたという。
安来織は1934年に民芸運動指導者の柳宗悦が編集する雑誌「工藝(こうげい)」の表紙に採用され、知名度が高まったという。安来織の布を表紙に使った「工藝」も展示されている。
美術館の千葉潮館長は「安来は鋼に限らず、もの作りの町だった」と説く。
ほかに布製品は出雲織と袋物、木製品は組子細工が並ぶ。安来織の遠藤京子さん(68)=安来市安来町=の手ほどきで機織りの体験もできる。
午前9時~午後4時半。火曜休館。入館料は一般1100円、高校・大学生550円、小中学生無料。(桝井映志)