そば処田中屋が商品化した、そば粉100%のパンケーキミックス=出雲市大社町杵築東
そば処田中屋が商品化した、そば粉100%のパンケーキミックス=出雲市大社町杵築東
なかたかが発売した島根県産そば粉使用の「七割そば」=松江市矢田町
なかたかが発売した島根県産そば粉使用の「七割そば」=松江市矢田町
そば処田中屋が商品化した、そば粉100%のパンケーキミックス=出雲市大社町杵築東
なかたかが発売した島根県産そば粉使用の「七割そば」=松江市矢田町

 島根県産そば粉が大量に余っている。新型コロナウイルスの影響で消費が落ち込む中、2020年産が記録的な豊作だったため。消費拡大に向け、地元業者は県外産からの切り替えや新しい食べ方の提案に動きだした。 (今井菜月)

 国の作物統計調査によると、県内の20年産ソバの収穫量は332トンとなり、過去10年で最も多かった。

 凶作だった19年(157トン)と比べ2倍以上となったが、肝心の消費は落ち込んだまま。観光客激減や外食自粛の影響で、そば店は軒並み打撃を受け、コロナ禍2年目も回復は鈍い。

 神代そば(松江市奥谷町)は書き入れ時の5月で今年の売り上げがコロナ前の19年比で半分の水準にとどまる。店主の佐藤博志さんは「新そばの切り替えが例年より3カ月遅れた」と嘆く。

 消費停滞を受け、JAしまねの倉庫は在庫がだぶつく。出雲地区本部管内は収穫量が約85トンで、保管量は約60トン。松江市のくにびき地区本部は収穫量約69トンに対し、7割超の約51トンがいまだ残る状況で、指導販売課の坂本芳彦さん(50)は「これほど動きの悪い年はなかった」と話す。

 11月には21年産の収穫が控え、このままだと在庫がさらに積み上がり、品質の低下も懸念される。

 製粉会社を通じて窮状を知った製麺業のなかたか(松江市矢田町)は県産そば粉の「七割そば」を商品化し、6月に発売した。

 従来は大半で北海道産を使用。安価で安定的に仕入れられるほか、県産は地元そば店向けに譲る配慮もあった。今年は消費拡大への貢献を兼ね、年内に約1・4トン分に相当する1万パックの販売を目指す。

 コロナ禍で売り上げ不振が続く、そば処田中屋(出雲市大社町杵築東)は6月、県産そば粉100%のパンケーキミックスを発売した。小麦粉を含まないグルテンフリーで、店主の田中俊樹さんは「そば粉の新しい食べ方を提案し、消費拡大につなげたい」と力を込めた。