鳥取県江府町の伝統の夏祭り「江尾十七夜」が17日、コロナ禍と火災を乗り越え5年ぶりに通常開催された。祭りのハイライトで県指定無形民俗文化財「こだいぢ踊り」では、そろいの浴衣と編みがさをかぶった保存会メンバーや飛び入り参加の観客が太鼓と唄に合わせしっとりと踊った。
祭りは戦国時代の江美城主・蜂塚氏が盂蘭(うら)盆の8月17日夜に城門を開放し、領民と一緒に先祖の供養や豊作を祈願して踊り明かしたのが起源。落城後も城主をしのび住民たちが祭りを継承してきた。
江尾十七夜はコロナ禍の影響で2020、21年は中止、22年は縮小開催だった。23年は通常開催を予定していたが、祭りの直前に火災があり、急きょ中止になった。
「こだいぢ踊り」は同町江尾、上の段広場であり、久連山に火文字で「十七夜」の文字が浮かび上がる中、始まった。約100人がゆったりと踊り、夏の風物詩を楽しんだ。
保存会の見山收会長(77)は「皆の顔を見ながら太鼓をたたくのは最高だった。江尾十七夜はやっぱりこれじゃなきゃ」と笑顔で振り返った。
祭りではこのほか、奉納大相撲大会や花火の打ち上げなどがあった。
(藤本みのり)