上方から人形を操る益田糸操り人形保持者会のメンバー=益田市有明町、島根県芸術文化センター・グラントワ
上方から人形を操る益田糸操り人形保持者会のメンバー=益田市有明町、島根県芸術文化センター・グラントワ

 島根県無形民俗文化財「益田糸操り人形」の定期公演が24日、益田市有明町の県芸術文化センター・グラントワであった。繊細な人形さばきで叙情的に表現する舞台に観客約170人が見入った。

 益田糸操り人形は、1887年ごろに東京の人形芝居の興行師によって、益田の浄瑠璃愛好家たちに伝えられたのが始まりとされる。「益田糸操り人形保持者会」(渡辺大樹会長、24人)が継承する。

 この日は「寿三番叟(さんばそう)」や「御所桜堀川夜討 弁慶上使の段」など4演目を披露。「伊達娘恋の緋廉子(ひがのこ) 八百屋お七の段」では、恋仲の吉三郎を助けるため火の見やぐらに登るお七の強い思いを雪の演出とともに描く。三味線や太夫の語りに合わせ、生きているかのような動きで人形遣いが感情の機微を表現し、観客を魅了した。

 終演後、人形を動かす体験をした広島市西区の小学3年生、鳥越あやめさん(8)は「難しかった。人形は重たいのに、はっきり動いていてすごかった」と話した。

 (藤本ちあき)