全14巻で完結した「決定版 ゲゲゲの鬼太郎」シリーズ
全14巻で完結した「決定版 ゲゲゲの鬼太郎」シリーズ

 境港市出身の漫画家・故水木しげるさん(1922~2015年)の生誕100年を記念し、2023年に刊行が始まった「決定版 ゲゲゲの鬼太郎」(中公文庫)シリーズが全14巻で完結した。鬼太郎作品は量が多い上、各出版社によるコミックスや文庫、全集など出版物もさまざまで、複雑になっていたのを体系化。時系列で読める初の文庫シリーズで、主要作品を網羅した。

 水木さんの代表作「ゲゲゲの鬼太郎」は、1965年に「墓場の鬼太郎」のタイトルで講談社の週刊少年マガジンで連載が始まった。途中でゲゲゲの鬼太郎に改題し、アニメや映画でも人気となった。

 「決定版 ゲゲゲの鬼太郎」は、中央公論新社が23年1月に刊行。1~10巻は65~87年に週刊少年マガジンと別冊少年マガジン、月刊少年マガジン、小学館の週刊少年サンデーに掲載された作品を発表順に収めた。11巻以降は、その他の雑誌に掲載されたものから「鬼太郎夜話」などを精選した。

 「鬼太郎」はさまざまな形式で出版されてきた。現代の読者には興味を持ってもとっつきにくく、中央公論新社によると、「膨大な作品の中でどれを読んだらいいのか、分からない」という声があったという。

 アニメ版の原作となった作品以外に、マンガ限定の話も数多く収録。同社文庫編集部の香西章子次長は「手軽に一気読みできる。鬼太郎を『もう一度読みたい』という人にも、『これから読んでみたい』という人にもお薦め」と話す。

 1~3巻各880円、4~10巻各924円、鬼太郎夜話上・下各946円、鬼太郎の世界お化け紀行、猫町切符各990円。いずれも文庫判。

 (山口春絵)