プレートの割れ、ずれで発生
私(わたし)たちに身近な自然災害(さいがい)、地震(じしん)。今年は1月1日に能登半島地震(のとはんとうじしん)が起き、石川県内で震度7の揺(ゆ)れが観測(かんそく)されました。8月8日には宮崎県南部で震度6弱の地震も。被害(ひがい)が大きかった地域(ちいき)では、いまだに元の生活を取りもどすことができていません。
4枚接する地震大国
発生のかぎは、岩石が集まって大きな板のようになった「プレート」にあります。プレートはパズルのように組み合わさった状態(じょうたい)で地球の表面を覆(おお)っていて、それぞれほんの少しずつですがバラバラに動きます。このため、プレート同士(どうし)が接(せっ)するところでは、押(お)し合ったり、すれちがったり、乗り上げたり、しずみこんだりしています。岩石からなるプレートはとても硬(かた)いので、力が加わると耐(た)えきれなくなり、割(わ)れてしまいます。この「プレート破壊(はかい)現象(げんしょう)」こそが、地震の正体です。
日本の位置する場所に注目すると、なんと4枚(まい)のプレートが接しています。つまり4枚のプレートが押し合いへし合いしているのです。日本で起きる地震は大きく分けて2種類あります。一つは、プレートが押し合って耐えられなくなった部分が割(わ)れるもので、能登半島地震や1995年の阪神大震災(はんしんだいしんさい)が主な例です。もう一つは、プレートの境目(さかいめ)がずれて起こるもので規模(きぼ)の大きなものが多く、2011年の東日本大震災(ひがしにほんだいしんさい)がこのタイプです。
数カ月に1度以上
ここ10年をふり返ると、日本で震度5弱以上の揺れを観測した地震は、およそ数カ月に1度以上のペースで起きています。日本が世界で有数の「地震大国」と呼(よ)ばれる理由が分かります。ちなみに、地震を引き起こした破壊のエネルギーを示(しめ)す「マグニチュード」は世界共通の基準(きじゅん)ですが、地面がどのくらい揺れたかを表す「震度」は日本独自(どくじ)のものです。
(本田隆行(ほんだたかゆき)・サイエンスコミュニケーター)
突然起こる揺れ 命守る備え大事
地震(じしん)は本当に突然(とつぜん)、やってきます。私(わたし)は、1995年の阪神大震災(はんしんだいしんさい)や2018年の大阪府北部地震(おおさかふほくぶじしん)を経験(けいけん)しました。急な揺(ゆ)れにうろたえることしかできなかったその時の様子は、今でもはっきりと覚えています。
日本に住んでいれば、びっくりするような揺れの地震にあう可能性(かのうせい)はだれにでもあります。だからこそ、その前に、自分や大切な人の命を守るために備(そな)えることがとても大事です。
すぐにできる対策(たいさく)があります。寝(ね)たり、座(すわ)ったりする場所の周りを見てみましょう。背(せ)の高いタンスや棚(たな)はありませんか? もしあれば壁(かべ)に固定して、できるだけ上の方には重い物を置かないようにしてください。
略歴
ほんだ・たかゆき 鳥取県三朝(みささ)町出身で、1982年生まれの「科学とあなたをつなぐ人」。神戸(こうべ)大学大学院時代の専門(せんもん)は地球惑星(わくせい)科学でした。日本科学未来館勤務(きんむ)を経(へ)て国内でもめずらしいプロのサイエンスコミュニケーターとして活動中。