松井酒造合名会社(本社・大阪市)が、鳥取県湯梨浜町久見の旧東郷中学校の跡地にウイスキー製造の新工場を建設する。インバウンド(訪日客)などの需要拡大に対応するのが目的で、2025年までに着工し、生産量を10倍程度に増やしたい考え。
同社は倉吉市などに構えた五つの工場で、ウイスキーをはじめ、梅酒や日本酒、ビールなどを製造している。旧東郷中学校は5年前に閉校し、湯梨浜町が活用策を募集していた。同社は約2万7千平方メートルの土地を購入し、鉄骨平屋建て2千平方メートルの新工場を整備することにした。
新工場は26年までに完成予定で、初年度に蒸留器を5基設置。29年までに20基に増やし、湯梨浜町特産の梨などを使った酒の開発も計画している。現在100万本超の生産本数(容量は非公表)を10倍程度に増やす計画。総事業費は未定としている。
従業員数は現在50人で、新工場の稼働に合わせ、29年までに地元から10人を新規に雇用する。
同社製造部の福井真吾統括本部長は「ウイスキーは中国や米国などのインバウンド需要がある。湯梨浜町には温泉や旅館があり、観光地と連携して蒸留所ツアーを企画するなどして町の活性化につなげたい」と話した。(井上雅子)