ワクチン供給減を受けた自治体の対応
ワクチン供給減を受けた自治体の対応

 新型コロナウイルスの米ファイザー製ワクチンの供給減少を受け、都道府県庁所在地の47市区のうち、79%に当たる37市区が予約枠縮小など接種計画を「見直した」「見直す予定」であることが17日、共同通信の調査で分かった。33市(70%)は、7月のワクチン配分量が希望量の半分以下にとどまる。5市は、2回目接種の時期を標準の「3週間後」から「遅らせる」「遅らせる可能性がある」とした。

 自治体が政府の要請に応じて態勢を強化したものの、十分な供給がなく計画変更を余儀なくされていることがデータで裏付けられた形だ。8~9月のワクチン量も7月と同程度で、32市区(68%)は「足りない」と回答。住民接種に関し菅義偉首相は10~11月の早い時期に終えると重ねて強調するが、事業は大きく停滞する可能性がある。

 調査は12~15日、47都道府県庁のある市区(東京都は新宿)に実施した。

 計画を「見直した」は仙台、新潟など30市、「見直す予定」は松江、静岡など7市区。「予定はない」は津市と鳥取市だけだった。残る8市は「対応を検討中・未定」。

 計画変更の内容(複数回答可)は「予約枠の縮小」が24市区で最多。「予約受け付けの停止・延期」が15市で続いた。多数に効率的に打てる集団接種会場について、13市が「減らす」と答えたほか、千葉市は「開設日を減らす」とした。札幌市は個別接種を行う医療機関に予約の変更やキャンセルを求めた。

 2回目接種が1回目の3週間後よりずれ込むとした5市は札幌、福島など。政府は6週間後までなら「ワクチンの効果を維持できる」としている。

 政府に対し、自治体の接種能力や要望に応じたワクチン供給を求める声が相次いだ。7月の配分では33市が希望量の5~2割で、このうち福井、岡山、長崎の3市は「2割」。松江は3割、鳥取は4割。6割以上は11市区、3市は無回答だった。

 首相は、1回は接種した人が7月中に国民の4割になるとしている。住民の「4割達成」を実現できるとの回答は47市区のうち11市だけだった。

 

▽新型コロナウイルスワクチンの住民接種事業 12歳以上を対象に市区町村が担う。65歳以上の高齢者(約3600万人)を優先して4月に始め、政府は7月中に完了させる方針。同時並行で64~12歳(約7900万人)に打つよう自治体に求めている。市区町村の個別・集団接種会場では米ファイザー製ワクチンを使う。輸入量は4~6月の約1億回分から7~9月は約7千万回分に減る。自治体への7~9月の配送は、2週間ごとに約1200万回分となる。企業や大学での接種は米モデルナ製を使用。