江津市西部の山あいにある有福温泉が復活しつつある。ピーク時の約20軒から3軒にまで減った宿泊施設は、この4年間で10軒にまで復活。危機を乗り越えた背景には、地元にUターンしたデザイン会社社長を含めた事業者、地元住民、市の連携による新しい温泉街づくりへの試みがあった。
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「本当に厳しい。なんとか復活させたい」。2020年秋、当時の山下修市長に頼まれ、建築デザイン会社SUKIMONO(スキモノ、江津市浅利町)社長の平下茂親さん(43)は腹を決めた。

「事業者や住民と一緒になって取り組む」
有福温泉の再生が動き出した。
1300年を超える歴史があり、三つの公衆浴場は湯治場としても愛されてきた。しかし、宿泊施設の老朽化が進み、火災による建物の焼失などの理由で次々と廃業。最盛期の1970年代ごろまで約20軒あった宿泊施設は、2020年には3軒にまで落ち込み、存続の危機にあった。
大学で空間デザインを学び、米・ニューヨークで家具デザインの仕事などに従事した後、Uターンした平下さんが目を付けたのは、...