気がついたら居酒屋の洋式トイレに顔を突っ込み、流れ出る水で口をゆすぎ、顔を洗っていたという。
「その時は本当に『きれいな水が流れている』と思い込んでいました」
過剰なアルコール摂取で感覚はまひしていた。
島根県内在住の40代男性は若くしてアルコール依存症になった。度を超えた飲酒量でわれを忘れ、失敗を何度繰り返しても、酒を断てなかった。
新聞の原則は「実名報道」だ。一方、匿名でなければ語れない背景や事情を持つ人も多くいる。その声から社会の断面を見る「顔なき…声」。今回は島根県内に暮らし、依存症を克服した人たちの体験談を追う。
▽▽▽
男性は10代の終わりごろから飲み始め、酒量が人並みではなかった。
人とうまく接することが得意ではなかった。酒を飲むと距離が縮まり、仲良くなったような気がした。ストレスがたまっても、酒を飲むと翌日はすっきりと目覚められると思い込んだ。
毎晩欠かさず、記憶がなくなるまで飲み続けた。...
アルコール依存症(1) 「飲むと、自分が自分ではなくなる」 島根40代男性の体験談〈顔なき…声〉
残り1301文字(全文:1752文字)
続きを読むには会員登録が必要です
無料会員登録(山陰中央新報IDを取得)すると
付きのデジタル記事が月5本まで読める
ニュースレターで最新情報を受け取れる
プレゼント応募や、クーポンが利用できる
顔なき…声のバックナンバー