江戸時代から戦前まで、出雲大社の門前で盛んだった糸操り人形の上演会がこのほど、出雲市斐川町原鹿の旧豪農屋敷であった。三味線と語りに合わせた人形の生き生きとした動きを来場者が楽しんだ。
継承団体の「出雲糸操り人形保存会」が演じた。人形浄瑠璃の演目「絵本太功記」から明智光秀を題材にした「尼ケ崎の段」、恋人を助けようとする女の思いを描いた「伊達娘恋緋鹿子」の2本を上演した。
糸を操り、人形にさまざまな心情を持たせる熱のこもった舞台で、観客は身を乗り出して物語の展開を見守った。
出雲市斐川町荘原の須田璋さん(80)は「糸による素朴で微妙な動きは味わい深かった。初めて見て感激した」と話した。
保存会はこの日、10代から80代までの12人で上演した。人形や舞台の小道具など全てが会員の手作りで、上演後は参加者に人形の操り方を教えた。会の原洋子副会長(76)=出雲市大社町杵築西=は「伝統文化を後世に伝え、観光にも生かしたい。多くの人に関心を持ってほしい」と話した。
退職公務員連盟荘原地区会が主催し、約40人が鑑賞した。(佐藤一司)