中国原産で上品な甘さと香りが特徴の果物・ライチを江津市の新たな特産にしようと、ベトナム出身の男性が本格栽培に向けて準備を進めている。寒暖差がある同市の気候が一大産地のベトナム北部と似ているのに着目。5年の試験期間で高品質の果実ができることを確認し、2025年から本格栽培に入り、夏の味覚として定着させたいと意気込む。
取り組んでいるのはベトナム北部出身で日本国籍を取得した岡本進太郎さん(41)=松江市西津田1丁目。江津市内で人材紹介業を営む傍ら、ベトナム人の知人から生のライチを食べたいとの声を聞き、試験栽培に入った。
岡本さんによると、江津市は夏場に安定した降水量があり、気温も高い一方、冬場は氷点下にならない程度の冷え込みがあり、適度な寒暖差が成育に適しているという。
日本国内で流通する輸入品は検疫の問題で冷凍が多く、生は温暖な沖縄県や九州南部で生産されたものが大半。生のおいしさを味わってもらおうと、20年に江津市二宮町の農地(約20アール)を借りてビニールハウス1棟を設置し、試験栽培を始めた。

5年間で強い甘みと香りを持った実が収穫できることが分かった。今後、ハウスを1棟増設し、木を5本増やして8本にする。収穫量は10キロを目指す。
引き合いが多い在住ベトナム人への販売を中心に、規格外品は菓子店や地ビールメーカーなどでの利用を呼びかける予定。岡本さんは「江津の夏の特産品になるよう努力したい。ライチを通じて日本とベトナムの友好の輪が広がる一助にもしたい」と述べた。
(村上栄太郎)