舞を披露する尾上菊之丞さん(手前左)と尾上右近さん(手前右)=松江市殿町、松江城二の丸上の段
舞を披露する尾上菊之丞さん(手前左)と尾上右近さん(手前右)=松江市殿町、松江城二の丸上の段

 松江城天守が来年国宝指定10周年を迎えるのを記念し、舞と和楽器による公演「八雲立つ 千鳥舞ういやさかの祈り」が9日、松江市殿町の松江城の野外舞台であった。和楽器奏者たちの演奏と一体化した優雅で力強い舞に観客千人が見入った。

 山陰中央新報社、松江市、松江観光協会で構成する実行委員会が主催。日本舞踊の尾上菊之丞さんと歌舞伎俳優の尾上右近さんが舞を披露し、和楽器奏者「いやさかプロジェクト」の8人が演奏した。神話の世界を描き、古事記に記された大蛇(おろち)も登場する詩楽劇の作品『八雲立つ』を発想の土台に、菊之丞さんが振り付けと演出を手がけた。

 秋晴れの下、興雲閣の前に設けられた野外舞台で築城400年の歴史を持つ松江城を望みながら太鼓や琴、津軽三味線などが一体感のある演奏を披露。優雅で力強く神々の世界を感じさせる身ぶりや、奏者も入り乱れて舞う演出に客席から指笛や歓声が鳴り響いた。

 公演後のトークで菊之丞さんは「400年の時を肌に感じながら舞い、劇場とは違う高ぶりを感じた」と笑顔を見せ、右近さんは「出雲国は縁結びの地。この地でいただいた縁を歌舞伎の道につなげたい」と語った。

 親子2人で訪れた岡山県真庭市の教職員佐藤優子さん(57)は「松江城を眺めながら踊る2人が印象的で、神々しい舞に感動した」と感激した表情だった。

 (堀尾珠里花)