紙面編集・枝広 慎也 かつて数十の店舗が軒を連ね、にぎやかだった中央商店街は、廃業と解体で雑草茂る更地ばかりに一変した。東日本大震災に伴う東京電力福島第1原発事故で、2017年まで全町避難を強いられた福島県富岡町。衣料品店を営んでいた大原弘道さん(84)=同県郡山市=は、町並みを眺め「見通しが良くなってしまって…」と寂しそうにつぶやいた。
明治時代から沿岸地域の商業中心地だった富岡町では、衣食住の必需品を買いそろえることができた。近隣自治体からの買い物客が多く、大正時代から続く毎年11月の「えびす講市」には3日間で数万人が集まることもあった。大原さんは「うちの右隣には建設会社、印刷店、書店が並んでいてね」と往時をしのぶ。
原発とリンクして発展を続けた商店街を...