50回目となった10月の衆院選では、全国的に強い「風」が吹いた。派閥裏金事件に端を発する自民、公明両党への逆風だ。追い風を受けた立憲民主党は躍進し、「手取りを増やす」の公約とSNS戦略で若年層に支持を広げた国民民主党も大きく議席を伸ばした。与党は過半数割れし、石破茂首相は難しい政権運営を強いられている。
永田町の景色を大きく変えた国政選挙を個別の選挙区で見ると、少し異なる事情が見えてくる。ここでは3つの選挙区を取り上げたい。共通するのは、いずれも注目区の隣や近隣に位置する点だ。
鳥取では、立憲民主党への追い風を全く感じられなかった候補者がいた。大阪では、日本維新の会が「完全制覇」を果たし、公明党が4小選挙区で全敗する傍らで、立民がある「兆し」をつかんでいた。和歌山では維新候補が全国一の僅差で勝利を逃した。それぞれの悲喜こもごもを振り返る。(共同通信=古結健太朗、伊藤怜奈、上原香廉)
▽鳥取には「逆の風」が吹いていた
自民、公明両党が過半数割れする中、鳥取県の2選挙区ではいずれも自民候補が圧勝した。1区は首相に選出されたばかりの石...