山陰両県に新型コロナウイルス感染拡大の第5波が押し寄せている。7月の両県の感染者数は鳥取県西部と島根県東部を中心に437人に上り、第4波の5月の1・6倍。感染力が強いインド由来のデルタ株への置き換わりが進んだとみられ、第4波で少数だった若年層の感染が増えた。 (佐々木一全)=1面参照

 29日までに確認された7月の感染者数は島根160人、鳥取277人。1カ月の感染者数でみると、島根は5月(189人)に次いで過去2番目で、鳥取は最多だった4月(111人)を大幅に更新した。

 居住地別の内訳は島根が松江市39人、出雲市39人、安来市38人、雲南市28人、邑南町7人、大田市2人、益田市2人、浜田市1人、県外4人。鳥取県は詳細な居住地は非公表としており、米子保健所管内172人、倉吉保健所管内22人、鳥取市保健所管内83人だった。

 インド由来で従来型の1・9倍の感染力があるとされるデルタ株の感染が相次いでいる。

 第5波到来以降で、両県で確認された変異株への感染が疑われる人は島根が127人(7月1~28日)、鳥取が167人(6月28日~7月25日)。このうち島根の42人と鳥取の106人がデルタ株だった。ワクチン接種率の低い若い世代で感染者が増えているのも特徴で、両県の7月の感染者は40代以下が7割を占める。

 島根県感染症対策室の田原研司室長は、30~40代の親世代が10代前後の子どもに広げている可能性を指摘し「家庭内での感染症対策が重要だ」と話した。