男子3000㍍障害予選 力走する三浦龍司(中央)=国立競技場
男子3000㍍障害予選 力走する三浦龍司(中央)=国立競技場

 陸上男子3000メートル障害予選で19歳の三浦龍司(順大)が自身の日本記録を6秒07更新する8分9秒92で1組2着に入り決勝に進んだ。同走り高跳び予選では戸辺直人(JAL)が2メートル28をクリアして決勝進出。衛藤昂(味の素AGF)は2メートル21にとどまり落選した。

 同400メートル障害予選では山内大夢(早大)が49秒21の2組3着で準決勝進出。黒川和樹(法大)と安部孝駿(ヤマダホールディングス)は準決勝に進めなかった。 同男子1万メートルで日本記録保持者の相沢晃(旭化成)は28分18秒37で17位、伊藤達彦(ホンダ)は29分1秒31で22位だった。セレモン・バレガ(エチオピア)が27分43秒22で初優勝した。

 女子5000メートル予選で、広中璃梨佳(日本郵政グループ)が14分55秒87で1組9着となり、タイムで拾われて決勝へ進んだ。田中希実(豊田自動織機TC)は14分59秒93の2組6着、萩谷楓(エディオン)は15分4秒95の1組12着で落選した。

 

<ハイライト>

 大舞台でも19歳の勢いが止まることはなかった。三浦龍司は、男子3000メートル障害で圧倒的な強さを誇るアフリカ勢と互角に渡り合い、5月以降3度目となる日本記録更新を達成。日本勢初の8分1桁台のタイムを残し、「大きな収穫。まだまだ伸ばせるんだな」と満足した表情を見せた。

 1~3組の各組上位3人と、4着以下の記録上位6人を合わせた計15人が決勝に進む予選。三浦が入った1組では今季世界1位のタイムを持つエチオピアのギルマをはじめ、トップ10の選手が計4人出場。レース前の三浦の自己ベストは世界19位に当たり、タイムだけ見れば厳しい戦いが予想された。

 レース前は「すごく緊張した」というが、スタートした瞬間にスイッチが切り替わり、集中力の高い走りを見せた。

 序盤から先頭集団に食らいつき、自らレースを引っ張る場面もあった。1000メートルの通過タイムは2分43秒2とハイペースになったが「周りの選手の走りにうまく乗れた」。障害をスムーズに越えられるよう、場所取りを意識しながら走るレース運びのうまさも見せた。

 残り1周となり、先頭集団の中で最初にスパートをかけ、勝負をかけた。最後までギルマを抜くことはできなかったものの、4位以下を大きく突き放した。レース後、同じ組で走った海外選手たちは三浦の肩をたたいて、快走をたたえた。

 8月2日の決勝でメダルを獲得すれば、日本人としては初めての快挙。三浦なら「日本長距離界の夢」をかなえてくれるはずだ。

 (藤原康平)