試作したカステラの出来栄えを確認する斎藤憲嗣社長(左)と松本充正専務=浜田市錦町、錦栄堂
試作したカステラの出来栄えを確認する斎藤憲嗣社長(左)と松本充正専務=浜田市錦町、錦栄堂

 浜田市内の老舗和菓子店と介護企業が、2025年が「昭和100年」に当たるのを記念した特製カステラを販売する。過去に昭和天皇がお召し上がりになった伝統の製法で作り、100年にちなんだ焼き印をあしらう。

 介護施設向け配食事業を手がける斎藤アルケン工業(浜田市下府町)が、激動の時代を生き抜いた先人に感謝しようと、錦栄堂(同市錦町)に持ちかけた。

 錦栄堂は1901(明治34)年創業で、40年代からカステラを作り続ける。膨張剤を使わず、熟達の職人が焼き上げており、ファンは多い。昭和天皇が戦後、浜田市内を巡幸した際に味わったという。

 「昭和百華」と題し、従来の製法で作った生地の上に、「百」の焼き印を押して金粉をまぶす。2月中にクラウンドファンディングで準備費用を募り、4月以降に通販サイトで千個販売する。1・5斤サイズをきり箱に入れ、価格は1個1万円程度を予定している。

 斎藤アルケン工業の斎藤憲嗣社長(52)は「昭和を代表する高級品だったカステラで先達への感謝を形にしたい」とし、錦栄堂の松本充正専務(46)は「昔ながらの製法で作った昭和の味を堪能してほしい」と話した。(宮廻裕樹)