惑星探査機カッシーニが2007年に撮影した土星の輪。濃い部分や薄い部分などの微細な模様が見えます(NASA/JPL/Space Science Institute提供)
惑星探査機カッシーニが2007年に撮影した土星の輪。濃い部分や薄い部分などの微細な模様が見えます(NASA/JPL/Space Science Institute提供)
土星の衛星「エンセラダス」の内部(NASA/JPL-Caltech提供)
土星の衛星「エンセラダス」の内部(NASA/JPL-Caltech提供)
太陽系を回る天体たち。八つの惑星と準(じゅん)惑星の冥王星(めいおうせい)です。天体の大きさと、左はしの太陽からの距離(きょり)は実際(じっさい)とはことなります(ゲッティ=共同)
太陽系を回る天体たち。八つの惑星と準(じゅん)惑星の冥王星(めいおうせい)です。天体の大きさと、左はしの太陽からの距離(きょり)は実際(じっさい)とはことなります(ゲッティ=共同)
3月24日の土星の見え方に注目です。地球から見て輪が真横を向くような位置関係になるため、輪が消えたように見えます(アストロアーツHPより)
3月24日の土星の見え方に注目です。地球から見て輪が真横を向くような位置関係になるため、輪が消えたように見えます(アストロアーツHPより)

          
惑星探査機カッシーニが2007年に撮影した土星の輪。濃い部分や薄い部分などの微細な模様が見えます(NASA/JPL/Space Science Institute提供)

          
土星の衛星「エンセラダス」の内部(NASA/JPL-Caltech提供)

          
太陽系を回る天体たち。八つの惑星と準(じゅん)惑星の冥王星(めいおうせい)です。天体の大きさと、左はしの太陽からの距離(きょり)は実際(じっさい)とはことなります(ゲッティ=共同)

          
3月24日の土星の見え方に注目です。地球から見て輪が真横を向くような位置関係になるため、輪が消えたように見えます(アストロアーツHPより)

 太陽の周りを回っている天体「惑星(わくせい)」は、地球を含(ふく)めて全部で八つあります。色や大きさはさまざまですが、中でも大きな輪を持つ土星は、ひときわ目を引く存在(そんざい)です。

 公転は一周30年

 土星は太陽に近い方から数えて六つ目の惑星で、そのサイズは木星に次いで2番目。直径は地球の9倍ぐらいあります。地球と同じように、天体自体がくるくると回る「自転」をしていますが、1回転するのにかかる時間は地球の半分の11時間。あまりに速いので、土星本体の形がちょっとつぶれてしまうほどです。ただ、太陽の周りを回る「公転」はとてもゆっくりで、一周するのにおよそ30年もかかります。

 あの特徴的(とくちょうてき)な輪は、DVDディスクのような1枚(まい)の円盤(えんばん)を想像(そうぞう)してしまいがちですが、砂(すな)つぶサイズの氷や岩石のかけらなどが薄(うす)く広がってできたものです。土星の輪を直径5メートルの円(相撲(すもう)の土俵(どひょう)ぐらい)だとすると、その厚(あつ)さは0.1ミリほど(お札1枚分)になります。惑星探査機(たんさき)が輪に近づいて撮影(さつえい)した写真には、濃(こ)い部分や薄い部分などの微細(びさい)な模様(もよう)が見えます。私(わたし)たちが輪に乗って遊び回るのは、どうやら難(むずか)しそうですね。

 年々変わる見え方

 土星も地球のように、ちょっと傾(かたむ)いた状態(じょうたい)で太陽の周りを回っています。そのため、地球から見た時の輪の見え方も年々、変わります。輪が上や下からのぞけるような角度から見える年には、ダイナミックに見えます。

 一方、輪を真横から見るようになる年は、輪がとても薄いため、土星をつらぬく串(くし)のように見えたり、ついには見えなくなってしまったりすることも。15年に1度訪(おとず)れるこのタイミング。実は3月24日にやってきます。ぜひ自分の目で、土星の輪がどんなふうに見えるか確(たし)かめてみてはいかがでしょう。

 (本田隆行(ほんだたかゆき)・サイエンスコミュニケーター)

 

 衛星エンセラダスに地球外生物いるかも

 地球の周りを回る衛星(えいせい)は、月ただ一つです。土星も衛星を持っているのですが、その数はけた違(ちが)いで、なんと2024年現在(げんざい)、140個(こ)以上も見つかっています。

 近年、注目されている土星の衛星の一つが「エンセラダス」です。天体の表面は氷におおわれているのですが、どうやら地下には海が広がっているようなのです。しかも探査機(たんさき)のデータからは、水が宇宙(うちゅう)空間に噴(ふ)き出している様子や、その水が真水ではなく生命のもとになるような物質(ぶっしつ)がいろいろ溶(と)けこんでいることも確認(かくにん)されています。

 ということは、もしかすると、その海の中には私(わたし)たちがまだ見たこともない生き物がすでにいてもおかしくはありません。近い将来(しょうらい)、エンセラダスに向かう探査機が地球から打ち上げられる日が来るかも! 光のささない地下の海中に住む地球外生物。いるとすれば一体、どんな姿(すがた)をしているのでしょう。

 

 略歴

 ほんだ・たかゆき 鳥取県三朝(みささ)町出身で、1982年生まれの「科学とあなたをつなぐ人」。神戸(こうべ)大学大学院時代の専門(せんもん)は地球惑星(わくせい)科学でした。日本科学未来館勤務(きんむ)を経(へ)て国内でもめずらしいプロのサイエンスコミュニケーターとして活動中。