地歌の人間国宝で生田流清音会家元・富山清琴さんの門下、富芭紫清宗(とみはし・せいそう)さん(65)=松江市西川津町=の大名取への昇格と改名を記念した演奏会がこのほど、松江市内であった。師弟で歌や語り、三絃(三味線)による熟練の技を響かせた。
清宗さんは2024年秋、門下の現役では3人しかいない大名取に昇格し「富」の字を許され、名を「石橋清宗」から改めた。山陰中央新報文化センター松江教室の箏(そう)・三絃講師を務める。
演奏会では師の清琴さんと息子の清仁さんとともに、大名取以上が演奏できる演目「曲ねずみ」を披露した。
台所で悪さをするネズミを描く演目で、鳴き声やゴソゴソと動く様子を、三味線の演奏技法を駆使して表現した。約500人の観客は幅広い表現や技法に見入り、拍手を送った。
演奏会後、清琴さんは「努力が見えた。上を見ると切りがないが、これからも続け、地歌を広めてほしい」とたたえた。
会では24年6月から箏を稽古してきた松江市内の小学生21人が「うれしい雛まつり」を披露したほか、尺八、箏曲などの演奏があった。(新藤正春)