木々が伐採され、見晴らしが良くなった瀬戸山城跡の南西郭群周辺=島根県飯南町下赤名
木々が伐採され、見晴らしが良くなった瀬戸山城跡の南西郭群周辺=島根県飯南町下赤名

 中世の山城で戦国大名・尼子氏の支城「尼子十(じっ)旗(き)」の一つ、瀬戸山城跡(島根県飯南町下赤名)の環境整備が進む。地元住民らが登山道を整え、探訪ツアーを開いたところ、じわじわと知名度が上がった。5~6月には本丸南西部の遺構周辺の木々を伐採。眺望を向上させ、歴史ファンをさらに呼び込む考えだ。 (清山遼太)

 

 瀬戸山城は衣掛山(631メートル)に築かれ戦国時代に出雲、石見、備後(広島県東部)3国の国境に位置する要衝で、尼子方の武将・赤穴(あかな)氏の居城だったとされる。毛利氏が攻略のため東側の武(ぶ)名(な)ケ平(がひら)山(724メートル)に陣城を構えたと伝わる。今も本丸や二の丸、三の丸の跡の「郭(くるわ)」と呼ぶ平たん地などが残る。

 住民グループが城跡に光を当てようと2008年、登山道の整備に着手。20年には城巡りファンの要望を受け、飯南町観光協会が御城印を発売。今春には、本丸跡で朝食を味わうツアーが開かれ、盛況だった。

 さらなる魅力向上のため町や観光協会、地元住民が本丸南西部の駐屯施設跡「南西郭群」周辺で約250本を伐採。武名ケ平山の山頂付近の木々も約150本を伐採し、それぞれ眺めが良くなった。

 島根県東部各地にある尼子十旗と連携して、情報発信しようと交流も始まった。7月には出雲市の「出雲斐川尼子十旗顕彰会」の訪問を受け、意見交換。今秋には奥出雲町の住民との交流を予定し、山城を生かした観光振興を話し合う。

 飯南町観光協会の芥川治さん(41)は「こうした活動が活発になって、地域のにぎわい創出につながればうれしい」と話した。