第三章・家中分裂(34)

 

「恐れながら、これは偽(ぎ)書(しょ)でございます」

 おいまあての書状を一読するなり長知(ながとも)は利長に押し返した。

「そなたの筆(て)ではないと申すか」

「筆跡も署名も...