人間は、か弱い生き物。たとえ健康な人でも病気になって働けなくなることはある。

 竹中優子「水辺のフリスビー」(「新潮」6月号)の「私」も心身の不調で退職を余儀なくされる。母を亡くし仕事もなくした52歳で独り身の「私」は就労移行支援センターで再就職を目指す。年齢も背景も異なる人々の集まるセンターで、あるいはその外で、「私」が取り結ぶのは友情とも恋愛...