「ひとり寝の子守唄」や「知床旅情」「百万本のバラ」など数々の代表曲を持ち、音楽活動を通して平和を訴えてきた加藤登紀子さん。5月にリリースした60周年記念アルバム「for peace」に並ぶ35曲にも信念が宿る。時代を写し取り、ともに歩んできた曲。そして、これから先の未来を生きる人たちへ贈りたい作品―。「日本が戦後のスタートを切ってから、全部見てきたわ」。そう語り、歌に全身全霊を傾ける「おときさん」の来し方と今の思いを聞いた。(共同通信=團奏帆)

 ▽日本の戦後、全部見てきた

 ―1943年末に旧満州(現中国東北部)ハルビンでお生まれになり、物心つく前に、終戦直後の収容所生活や貨物列車と船での引き揚げを経験されたそうですね。

 「ええ。私は本当に最悪の時に生まれているんだけど、母はいつも『あなたが希望だった』と言ってくれました。私を一生懸命守り、怖いことに立ち向かう時には逆に...